White Fang — Page 7
それはとても新鮮な匂いだったので、彼はすぐにそれが何であるかを悟った。
So fresh was it that he knew it immediately for what it was.
喜びで鼻を鳴らしながら、彼は川岸から木々の間へと匂いを辿った。
Whining with eagerness, he followed back from the river bank and in among the trees.
キャンプの音が彼の耳に届いた。
The camp-sounds came to his ears.
彼は焚き火の炎を見た。クルークーチが料理をしていて、グレイ・ビーバーはしゃがんで生の獣脂の塊を口の中でもぐもぐさせていた。
He saw the blaze of the fire, Kloo-kooch cooking, and Grey Beaver squatting on his hams and mumbling a chunk of raw tallow.
キャンプには新鮮な肉があった!
There was fresh meat in camp!
ホワイト・ファングは打たれることを覚悟していた。
White Fang expected a beating.
そのことを思うと、彼は少し身をすくめ、毛を逆立てた。
He crouched and bristled a little at the thought of it.
それから彼は再び前へ進んだ。
Then he went forward again.
彼は自分を待ち受けている折檻を恐れ、嫌っていた。
He feared and disliked the beating he knew to be waiting for him.
しかし彼はさらに、焚き火の温もりが自分のものになること、神々の加護、犬たちとの仲間意識——それは敵意に満ちた仲間意識ではあるが、それでも仲間意識であり、群れを求める彼の本能を満たしてくれるものであることを知っていた。
But he knew, further, that the comfort of the fire would be his, the protection of the gods, the companionship of the dogs—the last, a companionship of enmity, but none the less a companionship and satisfying to his gregarious needs.
彼は身をかがめ、はいずりながら焚き火の光の中へやって来た。
He came cringing and crawling into the firelight.
グレイ・ビーバーは彼に気づき、獣脂を噛むのをやめた。
Grey Beaver saw him, and stopped munching the tallow.
ホワイト・ファングはゆっくりとはいずりながら、みじめなほど卑屈に身をすくめ、地面に腹ばいになって服従を示した。
White Fang crawled slowly, cringing and grovelling in the abjectness of his abasement and submission.
彼はまっすぐグレイ・ビーバーに向かってはい進んだが、進むごとに動きはますます遅く、つらいものになっていった。
He crawled straight toward Grey Beaver, every inch of his progress becoming slower and more painful.
ついに彼は主人の足元に横たわり、今や自らの意志で、身も魂も主人の手に委ねた。
At last he lay at the master's feet, into whose possession he now surrendered himself, voluntarily, body and soul.
自らの選択によって、彼は人間の焚き火のそばに座り、その支配を受けるためにやって来たのだった。
Of his own choice, he came in to sit by man's fire and to be ruled by him.
ホワイト・ファングは震えながら、罰が自分に下されるのを待った。
White Fang trembled, waiting for the punishment to fall upon him.
頭上で手が動いた。
There was a movement of the hand above him.
予期していた打撃に、彼は思わず身をすくめた。
He cringed involuntarily under the expected blow.
Vocabulary
- So
- そのため、したがって。前の内容を受ける接続詞。
- fresh
- 新鮮な、生き生きとした、できたばかりの。
- was
- be動詞の過去形。〜であった、〜だった。
- knew
- knowの過去形。〜を知っていた、理解していた。
- immediately
- すぐに、直ちに、ためらわずに。
- Whining
- 犬などが高い声で鳴くこと、泣き言を言うこと。
- eagerness
- 熱心さ、強い意欲や熱望の気持ち。
- followed
- followの過去形。〜の後についていった、従った。
- back
- 後ろへ、元の場所へ。方向や位置を示す副詞。
- river
- 川。水が流れる自然の大きな水路。
- bank
- 川岸、土手。川や水辺の縁の部分。
- among
- 〜の間に、〜の中に。複数のものの間を示す前置詞。
- trees
- 木々。treeの複数形。森や林の木。
- camp-sounds
- 野営地から聞こえるさまざまな音や物音。
- came
- comeの過去形。やってきた、届いた。
- ears
- 耳。音を聞くための体の器官の複数形。
- saw
- seeの過去形。〜を見た、目にした。
- blaze
- 激しく燃える炎、明るく輝く火。
- fire
- 火、炎。燃焼によって生じる熱と光。
- cooking
- 料理すること、食べ物を火で調理する行為。
- Grey
- 灰色の。グレーベイヴァーという人物名の一部。
- Beaver
- ビーバー。物語中の人物名「グレイ・ビーバー」の一部。
- squatting
- しゃがんでいること、膝を曲げて低く座る姿勢。
- hams
- 太もも。人や動物の太ももや尻の部分。
- mumbling
- もぐもぐと食べること、口の中でぶつぶつ言うこと。
- chunk
- 大きな塊、厚く切られた一切れ。
- raw
- 生の、加熱していない、調理されていない状態。
- tallow
- 獣脂。牛や羊などの動物の脂肪。
- meat
- 肉。食用の動物の肉。
- camp
- 野営地、キャンプ地。野外での宿泊場所。
- White
- 白い。ホワイト・ファングという狼の名前の一部。
- Fang
- 牙。物語の主人公である狼の名前の一部。
- expected
- expectの過去形。〜を予期していた、覚悟していた。
- beating
- 打つこと、たたくこと。体罰や殴打を指す。
- crouched
- 身をかがめた、低く丸まった姿勢をとった。
- bristled
- 毛を逆立てた。恐怖や怒りで体毛が立つこと。
- little
- 少し、わずかに。量や程度が小さいことを示す。
- thought
- 考え、思考。thinkの過去形または名詞。
- Then
- それから、その後。次の出来事を示す副詞。
- went
- goの過去形。〜へ行った、進んだ。
- forward
- 前方へ、前に向かって進む方向。
- again
- 再び、もう一度。繰り返しを示す副詞。
- feared
- fearの過去形。〜を恐れた、怖がった。
- disliked
- dislikeの過去形。〜を嫌った、好まなかった。
- waiting
- 待っていること。誰かや何かを待つ行為。
- But
- しかし、だが。前の内容と対比する接続詞。
- further
- さらに、それ以上の。程度や距離が加わることを示す。
- comfort
- 安らぎ、慰め、快適さを与えるもの。
- would
- 〜だろう、〜するつもり。willの過去形や推量。
- protection
- 保護、守ること。危険から守る行為や状態。
- gods
- 神々。godの複数形。崇められる存在。
- companionship
- 仲間であること、友情、一緒にいる関係。
- dogs
- 犬たち。dogの複数形。
- last
- 最後の、最終的な。順序の一番後ろを示す。
- enmity
- 敵意、憎しみ。他者への強い嫌悪感。
- but
- しかし、でも。対比を示す接続詞。
- none
- 誰も〜ない、何も〜ない。否定を強調する語。
- less
- より少なく、それほどでなく。程度が低いことを示す。
- satisfying
- 満足させる、欲求を満たす、充実した感じを与える。
- gregarious
- 群れを好む、社交的な、集団を好む性質。
- needs
- 必要なもの、欲求。生存や幸福に必要なこと。
- cringing
- 恐れてすくんでいること、卑屈に縮こまる行為。
- crawling
- 這いずること。手足をついて低く地面を進む動き。
- into
- 〜の中へ。外から内側への移動を示す前置詞。
- firelight
- 焚き火や炎の光。火が照らす明かり。
- stopped
- stopの過去形。〜をやめた、動きを止めた。
- munching
- もぐもぐと食べること。音を立てて食べる様子。
- crawled
- crawlの過去形。地面を這って進んだ。
- slowly
- ゆっくりと、のろのろと。速度が遅い様子。
- grovelling
- 地面にひれ伏すこと、卑屈に服従する行為。
- abjectness
- みじめさ、極度の卑屈さや惨めな状態。
- abasement
- 自己を低める行為、屈辱的に身を落とすこと。
- submission
- 服従、従うこと。相手の意志に従う行為。
- straight
- まっすぐに、一直線に。方向がぶれない様子。
- toward
- 〜に向かって、〜の方向へ。
- every
- すべての、〜ごとに。全体を指す形容詞。
- inch
- インチ。わずかな距離や動きを示す単位。
- progress
- 前進、進歩。前に進む動きや成長。
- becoming
- 〜になりつつある。状態が変化していく様子。
- slower
- よりゆっくりした。slowの比較級。
- more
- より多く、さらに。程度が増すことを示す副詞。
- painful
- 痛みを伴う、苦しい、つらい様子。
- lay
- lieの過去形。横たわった、置かれていた。
- master
- 主人、飼い主。支配的な立場にある人物。
- feet
- 足。footの複数形。体の足先の部分。
- whose
- 誰の、その人の。所有を表す関係代名詞。
- possession
- 所有、持ち物。何かを持っている状態や権利。
- now
- 今、現在。この瞬間を示す副詞。
- surrendered
- surrenderの過去形。降伏した、自ら差し出した。
- himself
- 彼自身。男性が自分自身を指す再帰代名詞。
- voluntarily
- 自発的に、強制されずに、自ら進んで。
- body
- 体、肉体。生き物の物理的な体の部分。
- soul
- 魂、精神。肉体と対比される内面的な本質。
- own
- 自分自身の、固有の。所有を強調する形容詞。
- choice
- 選択、選ぶこと。自分の意志で決める行為。
- sit
- 座ること。体を支えて腰を下ろす行為。
- man
- 男性、人間。成人した男の人。
- ruled
- ruleの過去形。支配した、統治した。
- trembled
- trembleの過去形。震えた、恐れや寒さで体が揺れた。
- punishment
- 罰、制裁。悪い行いに対して与えられるもの。
- fall
- 落ちること、降りかかること。降下する動き。
- upon
- 〜の上に、〜に対して。onよりやや文語的な前置詞。
- movement
- 動き、動作。体や物が動くこと。
- hand
- 手。人間の腕の先にある体の部位。
- above
- 〜の上方に、〜より高い位置に。
- cringed
- cringeの過去形。恐れてすくんだ、びくっとした。
- involuntarily
- 無意識に、意図せずに、思わず自然に。
- under
- 〜の下に、〜を受けて。位置や影響を示す前置詞。
- blow
- 打撃、一撃。手や物で強く打つこと。
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